大動脈センター
診療内容

大動脈疾患

  • 大動脈瘤破裂や急性大動脈解離の緊急手術の割合は年々増加しています。
  • 外科医だけでなく、放射線科医、循環器内科医、看護師、臨床検査技師、レントゲン技師、手術室では麻酔科医、看護師、臨床工学技士といった医療関係者のほか、それらを支える多くのスタッフを含む大きなチームが必要です。当院大動脈センターでは、常時、複数の大動脈緊急手術が行える態勢を整えています。
  • 閉塞性疾患では、外科手術とカテーテル手術を組み合わせたハイブリッド治療を行っています。

 

大動脈の手術方法

1)人工血管置換術

 大動脈に対する標準術式は人工血管置換術です。人工血管置換術を行うには、開胸や開腹に加えて大動脈の血流を一時的に遮断する必要があります。胸部大動脈手術では人工心肺装置が必要であり、さらに低体温、循環停止、脳灌流といった補助手段を用いることが多く、患者さんにとっては侵襲が大きい手術です。

 天理よろづ相談所病院は日本の心臓血管外科の黎明期から大動脈手術を行ってきた長い歴史と症例の蓄積があり、改善を重ねてより確実性の高い手術を行っています。

 

2)ステントグラフト内挿術

 大動脈手術が必要となっても、高齢であったり、慢性閉塞性肺疾患(COPD)などの他の病気があれば、侵襲度の高い手術に耐えられない可能性が高まります。そういった患者さんのために、カテーテルによるステントグラフト内挿術が開発され、当院でも2007年から開始しており、現在までに1000例以上の手術を行っています。

 ステントグラフト治療は開胸や開腹が不要であるため、人工血管置換術を比べると患者さんにとっては明らかに侵襲の低い手術です。低侵襲であるため、ステントグラフトの症例は全国では右肩上がりですが、導入から15年が経ち、良い点だけでなく、改善すべき点も明らかになっています。

 

大動脈治療のトピックス

1)自己弁温存大動脈基部置換

 大動脈基部拡大に対する手術では、若年者で弁の形態が問題なければ大動脈弁を温存した基部置換術を行っています。

 

2)エンドリークによる瘤径拡大の予防

 ステントグラフト治療ではエンドリークによる遠隔期の瘤径拡大が問題となることがあります。これを予防するために、ステントグラフト内挿術前に腰動脈などの分枝塞栓を行っています。また、経過観察中に瘤径拡大あればエンドリークに対する塞栓術を局所麻酔下で行っています。

 

3)更なる低侵襲治療

 ステントグラフト内挿術は止血デバイスを用いて経皮的アプローチのみでの治療も行っています。

 

4)ステントグラフト後の開胸、開腹人工血管置換術

 ステントグラフト内挿術後に瘤径拡大が続き、血管内治療を行っても拡大する症例は開胸、開腹にて人工血管置換術を考えなければなりませんが、侵襲が大きく、施設によっては手術適応外となることもあります。他院でステントグラフト内挿術を行い、経過観察中に瘤径拡大がある患者様がおられましたら、お気軽にご相談ください。各種検査をおこない、最適な治療法を提案します。

ページの先頭へ